こんにちは、aestasの石川です。
今週は東京でも2度目の雪が降り、寒さに耐える毎日です。
昨日は節分でしたね。豆を食べ忘れてしまいましたが、今日からまた新たな気持ちで製作に励みます!
さて、今回は内羽根(オックスフォード)のストレートチップを納品しました。

今まで黒やこげ茶は沢山納品してきましたが、明るめの茶は今回が初めてです。
元の革自体はライトブラウンに近いお色ですが、仕上げで入れ込むクリームとワックスで部分的に濃淡を付け、アンティークな雰囲気に仕上げています。

こちらがクリームで仕上げる前の状態です。これはこれでとても素敵な色合いです。
今回使用した革はイタリアの名門INCAS(インカス)社による植物鞣しのベビーカーフです。

インカス社は数あるイタリアのタンナー(皮革鞣し工場)の中でもトップクラスの技術力を誇り、グッチやプラダなどにも革の供給をしていることでも有名です。
とても上質な原皮を厳選し、丁寧に加工していることは、現物を見れば一目瞭然です。

使い込むことによって得られる経年変化も抜群で、お手入れが楽しくなることでしょう。

こちらのお客様は50歳を機にしっかりと作られた革靴を履くようになったそうで、靴選びを変えてから靴の重要性に気付かれたとのこと。
オーダーで作るのは今回が初めてなのですが、ご自身で靴の構造や履き心地の良い靴の型取りをして研究されているせいか、とても的確なご意見をお持ちでした。
オーダー靴というと敷居が高いという印象をまず持たれる方がほとんどかと思います。金額だけを見れば、私自身も決して安い買い物ではないと思います。
ですが、靴は身に付けるものの中でも最も耐久性が求められるものであり、歩くことに不可欠な道具です。
バッグやアクセサリーでオーダー靴以上の価格のものは多いですが、靴ほどに健康に直結するものはありません。その使用回数も靴に比べれば少ないでしょう。
足のトラブルがなくなり、この先何年も足元を支えてくれるものだと思えば、コストパフォーマンスのとても高い買い物ではないでしょうか。

足のトラブルは長年の靴選びによって引き起こされることがほとんどです。
軽い靴がいい、柔らかい靴が気持ちいい、幅の広い靴が楽など、足に良い靴の条件とは真逆の靴選びをされている方が多いのが現状です。
足と身体に良い靴の条件としては、適度な重さがあり、屈曲する部分以外はしっかりと足を支えられる強度を持っていて、足の形に沿い、過度な余裕や締め付けがない靴です。
手に持って靴の重さを測って、これは重いから疲れるだろうという選び方をされている方はまず足に合った靴を履いていません。
靴は足に履くものですから、履いて歩いてみて初めてその重さが解ります。足に合った靴は重さを感じませんし、適度な重さが振り子の役目をしてくれることで、軽い靴よりも長時間歩行での疲労感は少なくて済みます。
かかとの部分に芯の入っていないなど、全体的に柔らかい靴はそもそも木型と足との相性が分かり難いですし、合っていなくても痛みに繋がりにくいため、徐々に変形していっても気付きにくいものです。
また、かかと周りを支えるだけの強度がありませんので、捻挫などもしやすく、足の倒れも支えることが出来ません。
最後に幅の広い靴ですが、既製品では往々にして指の付け根部分の余裕は3E表示などで示していますが、そこから指先にかけての容量はそれよりもずっと狭くなっていることが多く、幅広だからというだけで指周りが楽だとは言えないのが現状です。その結果、自分の足は3Eでも痛く、とても幅広だ!という誤解を生んでしまいます。
上記のような靴選びをされていた方は、靴のサイズ表記ではなく、まずは足のサイズを測定し、ご自身の足がどのような足なのかを知ることから初めて欲しいと思います。
足と靴について書き出すとつい長くなってしまいますが、大切なことですので今後も繰り返しお伝えしていこうと思います。
【今回の靴】
オックスフォードストレートチップ
靴代・・・¥98,000-(マッケイ製法)
※ハンドソーンウェルト製法・ノルベジェーゼ製法の場合¥160,000~
革・・・INCAS社・PARMA ライトブラウン +¥10,000
底・・・レザーソール
※初回は、上記の他別途木型製作代(仮縫い込)として¥50,000-頂戴致します。
※現在の納期は約4ヶ月です。
※価格は税抜き