こんにちは、aestasの石川です。
先日までの暖かさが嘘のように朝晩の冷え込みが強くなってまいりました。
革底の靴では地面の冷たさが伝わってきて辛くなってきましたね。
足の血行が悪くなるとフィッティングにも影響が出ますので足元はなるべく冷やさないようにしたいところです。
さて、今回は珍しくスリッポンの靴をお作りしました。

着脱のしやすさから靴を脱ぐ機会の多い日本では最も需要が高い靴のデザインと認識しています。
ですが、パンプス同様に押さえられるポイントが少なく、一日の内でも常に変化する足の大きさに合わせることが非常に困難なデザインでもあります。
そのため、木型からお作りする場合でも2足目以降のお客様に限りお作りしております。
また短靴の紐靴であれば2足目以降は通常仮縫いは行わないのですが、ブーツやスリッポンの場合には仮縫いを行っております。

スリッポンという名称は足を滑らせて履ける=Slip on からきており、ローファーもスリッポンの一つのデザインです。
今回はタッセル(房飾り)付きのデザインでお作りしました。お客様はスリッポンというだけのご注文で、革の色以外の細かいデザインに関してはお任せ頂きました。
ライトブラウンの革でしたので、ローファーでカッチリというイメージよりは、お客様の雰囲気に合わせ柔らかさが出るようタッセルスリッポンでご提案させていただきました。
初めてオーダーされる方など、デザインのイメージが明確でない場合にはお客様の嗜好や雰囲気を加味して私からもご提案させていただいております。
デザインは一番悩まれるところかもしれませんが、楽しみながらお選び頂ければ幸いです。

スリッポンでもカカトのディテールはシームレスでお作りしております。
紐靴よりもタイトに押さえこむため、脱ぎ履きの際にカカト部分に掛かる負荷はそれだけ大きくなります。
そのため、スリッポンこそシームレスヒールと相性が良いデザインと感じています。
今回はスムースレザーでしたが、スエードなど起毛素材との相性の良いスリッポンですので、組み合わせを考えるだけで楽しくなります。

靴内環境と履き心地を重視され、ソールにはハーフラバーは貼らず革底のまま仕上げております。
この辺りは個人的な好き嫌いもありますので正解はありませんが、靴自体の履き馴染みが良いのは革底のままが一番だと思います。
ですので、履き心地を重視するならしばらく履いて返りが十分についてからハーフラバーで保護するのでもいいのかもしれません。

外反扁平足に近いアーチの崩れがあるお客様でしたのでフィッティングに頭を捻りましたが、デザインも含めご満足頂けました。
ありがとうございます。
【今回の靴】
タッセルスリッポン
靴代・・・¥98,000-
革・・・アニリンカーフ ライトブラウン
底・・・レザーソール
※初めてご注文のお客様は靴代の他に木型制作代として別途¥50,000-頂戴致します。
※現在の納期は約4ヶ月です。
※2足目以降でスリッポンをご注文の際は別途仮縫い代¥20,000-頂戴致します。
※価格は税抜です。