こんにちは、aestasの石川です。
週末に入り少し気温が上がり、昨夜からほんのり春の気配を感じ始めました。
これから徐々に咲いていく梅と桜に季節を感じ、散歩も楽しくなりますね。
さて、そんな季節の変わり目の今回はシングルモンクストラップの納品です。
定番のミネルバボックスを使用した一足です。
デザインサンプルに緑色の同モデルを置いているのですが、お客様の目に留まり色違いでお作りしました。
当初は茶系の靴が欲しくて探されていたようなのですが、目から入る情報というのは色さえも超越した物欲を刺激するようです。
ちなみにこちらは緑色ではなく、グリージオという、緑とグレーの中間色のようなお色です。
ミネルバボックスの中でもエイジングが最も強く、ひと月もすると元の色が何色だったのか分からなくなるくらいの変化があります。
今回は手縫いモカに使用する糸やソールも変化後の色に馴染むように統一しました。
私物ですが、約5年くらい履いたグリージオです。同じ革とは思えません。
他のタンニン鞣しの革と比較しても類を見ないほど、ミネルバボックスの魅力はエイジング後に現れる色艶にあると言えます。
長年掛けて培ってきたバダラッシィ社の技術力が生んだ一品です。
こちらのお客様もですが、最近足の小さな方にお作りする機会が増えています。
足長を測ると男性でも23cm台の方が多いです。23cmと聞くと全体的に小さな足という印象を持たれるかと思いますが、男性の場合は骨格がしっかりしているため、厚みや甲周りの寸法は女性の23.0cmとは比べ物にならないボリュームです。
既製靴で靴選びをしようとすると必然的に25.0cm以上の靴でないと甲が圧迫されてしまいますので、どうしても大きめの靴選びになりがちです。
この場合、甲を基準にした靴選びをしていますので、靴が適切な位置で屈曲しないことが多く足と靴に余計な負担が掛かります。特に、靴の中で足が動いてしまうため、趾周りを中心に胼胝や魚の目が出来やすくなります。中指の付け根付近に胼胝や魚の目が出来る方も靴が緩く、横のアーチが低下していることで負荷が集中して症状につながっているケースが多いです。
現在胼胝や魚の目に悩まされている方は、靴に原因があるかもしれませんので、一度靴選びから見直されてみることをお薦め致します。
フルオーダーでは、お客様個々の足の長さや甲周り寸法などを反映して一台一台木型を削りますので、自然とお客様の雰囲気や体型に違和感なくマッチする靴が出来上がります。
靴は顔から一番遠いところにありますので、自分ではあまり意識しませんが、他人が見たときに全身の調和が取れているかどうかは無意識にですが一瞬で判断されてしまいます。
ヨーロッパでは足元を見られるということを良く聞きますが、それは決して高い靴を履いているかどうかをチェックしているのではなく、フィッティングを間違っているために靴が浮いて見えるから、足元につい目がいってしまうのだと思います。靴の文化が根付いているヨーロッパならではの習慣のようなものなのだと感じます。
今回のソールは、革底に半分だけラバーを貼ったハーフラバー仕様です。革底の良さも残しつつ滑りと摩耗を防いでくれるお薦め仕様になります。
【今回の靴】
シングルモンクストラップ
靴代・・・¥98,000-(マッケイ製法)
※ハンドソーンウェルト製法・ノルベジェーゼ製法の場合は¥160,000~
革・・・ミネルバボックス(グリージオ)
ソール・・・レザーソール+ハーフラバー
※初回は別途木型制作代¥50,000-頂戴致します。
※現在の納期は約4ヶ月。
※価格は税抜です。