こんにちは、aestasの石川です。
今年は桜の開花が早かったため、入学式を葉桜で迎える学校が多そうですね。
ライトアップのお花見も例年より寒そうでした。油断して新年から体調を崩さないようにしないといけませんね。
さて、今回は鮮やかなブルーのUチップを納品しました。
型押しとは違い、革を揉み込むことで現れるシボ感が上品なミネルバボックスを使用した一足です。
イタリアの老舗タンナー「バダラッシィ社」で鞣されたフルタンニンレザーですので、使い込むことで艶が増し、色合いも深みを増していきます。
だいたい1年も履けばお手入れだけでは再現出来ない色味に変化します。今回使用したオルテンシアという色も使い込むと深みのあるグリーンに変化していきます。
型押しでないシボの大小は革一枚一枚入り方が変わりますので、2つとして同じものは存在しません。一枚の革の中でも細かく入っているところとそうでないところがありますので、それらを上手に組み合わせればそれだけでコンビの靴に見えることもあるくらいです。
Uチップもいつものツイストモカではなく、革の裏面を摘み縫いして表側に糸の出ないシャドーステッチを施しました。
独特の凹凸感に色を乗せて陰影を付けることで通常のUチップとは雰囲気がガラリと変わります。糸が露出していないのでほつれる心配がないのも嬉しいところです。
こちらの靴はハンドソーンウェルト製法で仕立てています。既製靴で多いグッドイヤーウェルト製法が生まれる以前から靴作りに用いられている伝統的な製法です。
靴の外周にぐるりと縫い付けられている細い革の帯をウェルトと呼ぶのですが、これを手縫いによって縫い付けることでソール内部に余計な段差が付かず、その分だけグッドイヤーウェルト製法よりも薄く履き馴染みの良い柔らかい靴に仕上がります。作り方としてはとても前時代的な感じがしますが、今でもオーダー靴には欠かせないほど確立された製法として受け継がれています。
aestasではお客様一人一人の足に合わせて、専用の木型を作製して靴をお作りしております。
オーダー靴の場合、長さや角度、厚みや柔らかさなど個人差をどう組み込み一つの靴として完成させるかが重要になります。そのためには手作業によって、個々の木型それぞれの設計に柔軟に対応できるハンドソーンウェルト製法は既製靴以上にオーダーメイドの靴作りに欠かせないものだと感じます。
ソールは革の雰囲気をそのまま生かすようナチュラルに仕上げています。革底の場合、履き始めの擦り減りが早いですが、ある程度履き込むとつま先は減りにくくなります。
最初からハーフラバーを貼るのも勿論歓迎ですが、天然の革底の柔らかさを感じて頂く為にも最初はそのままで履いて頂くことをお薦めします!
【今回の靴】
Uチップシャドウステッチダービー
靴代・・・¥160,000-(ハンドソーンウェルト製法)
※マッケイ製法の場合は¥98,000~
革・・・ミネルバボックス オルテンシア
ソール・・・レザーソール
※初回は、靴代の他に木型製作代(仮縫い込)として別途¥50,000-頂戴致します。
※現在の納期は約4ヶ月です。
※価格は税抜。