こんにちは、aestasの石川です。
すっかり春らしい日差しになりましたが、それと同時に飛び始めた花粉に度々作業を邪魔されてしまいます。
症状が出てからでは遅いと分かっていながらも、毎年対処療法的な対策で終わってしまっています。
靴と足の関係も同じで、症状が悪化してからでは改善することは難しくなります。体質改善ではないですが、普段からしっかり足に合った靴を履く事が大切になります。
さて、今回は2アイレットダービーのサドルシューズモデルを納品致しました。

サドルシューズというと元々は内羽根(オックスフォード)タイプですが、外羽根(ダービー)に入れるサドルラインもなかなか格好良いです。

サドルとは乗馬の際に馬に乗せる鞍のことなのですが、内羽根タイプのサドルを横から見たときのシルエットが似ているということが由来だそうです。
ということは、外羽根タイプでは鞍の形からは少し外れてしまうので正式にはサドルシューズではないのかもしれませんが、”外羽根の”という限定付きなら何の問題もないでしょう。

今回は2アイレットなので、シルエットもスッキリしています。
前回も書きましたが、2アイレットは紐靴の中でも脱ぎ履きがし易いモデルです。脱ぐときは紐を解いて下の紐を引くだけですし、履くときは紐の両端を持って引っ張るだけでしっかり縛れます。
難点としては同じ木型を使用しても、甲の立ち上がり付近のホールド感が弱くなることです。
脱ぎ履きしやすい靴というのは、フィッティングにおいて必ずデメリットを抱えているものです。オーダーの場合、そのデメリットを小さくすることは出来ますが、デザイン別に比較した時には必ず現れてくるものです。
2アイレットのデザインはとてもスッキリしていて足元がスマートに見えますが、足に何らかの症状を抱えている方にはあまりお薦め致しません。
同じサドルモデルでも5アイレットの方が断然履きやすい靴に出来上がりますので、そちらをご提案させて頂いております。
オーダー靴に求められるものはお客様それぞれで異なりますが、デザイン重視の場合には現状の足との擦り合わせで必ずしもご希望通りお受けする事が出来ない事があります。靴のデザインは見た目だけではなく機能性も含んでいるからです。

今回、ソールはビブラムの2055ソールを使用しました。耐久性が高くヒールの交換がだいぶ先になりそうです。
厚みがある割に柔らかく、履き始めから屈曲性が高いのですが、革と比べると足馴染みが出来る訳ではないのでそういった部分では固さを感じます。
天然皮革との差を実感するところですが、これは好みによるところも大きいかもしれません。

今回のお客様は博多の靴職人さんに靴を作ってもらっていたそうなのですが、その方が引退されたためご注文を下さいました。
オーダーの場合には出来上がった靴をお渡ししたら終わりではありません。むしろそこからがお客様の足との付き合い始めです。
2足、3足とオーダー頂けるようにこれからも経験と技術を高めていきたいと思います。
【今回の靴】
2アイレットサドルダービー
マッケイ製法
革・・・オイルカーフ黒×ミネルバボックス黒
ソール・・・2055ソール
※初回は別途木型製作代として¥50,000-頂戴致します。