こんにちは、aestasの石川です。
今回はシュリンクレザーを使用したUチップの外羽根を納品しました。
シュリンクレザーには型押しと本シュリンクと呼ばれる天然のシボを活かした2種類があります。
今回使用した革は型押しで、天然のシボとの違いはその均一性にあります。
天然のシボですと革の個体差によりシボの大小や割合が部分部分で異なりますが、プレスした型押しのシボは全体に均一に同じシボ模様が出ます。
そのため、より重厚感のある足元を演出してくれます。
今回の靴にはイタリアのオットチェント社のベルーガという革を使用しています。
イギリスなどのカチッとした型押し模様とはまた違う天然のシボを思わせる表情で、厚みがあるのに柔らかく履き馴染みが良い革です。
部分的に退色加工を施してアンティーク調の仕上げをしています。
Uチップは手縫いのモカで仕立てることが多いですが、こちらのデザインではミシンステッチのみのシンプルなモカでお作りしました。
手縫いモカですと凹凸が強く出るため立体的に仕上がりますが、ミシンステッチの場合では平面の貼り合わせのみになりますので大分スッキリとした印象になりました。
この辺りはお客様の好みが分かれるところではないでしょうか。作り手としてはどちらも素敵なので甲乙付け難いです。
お選び頂いた革の種類や色によって相性も変わりますので、お客様のイメージに近いものをご提案させていただきます。
微調整できる手縫いのケースとは違い、ミシンステッチでのモカは型紙のバランスが全てです。
左右で異なることの多いお客様の足の形状に違和感なく納まるようにデザインを描くのが一番時間を要する作業かもしれません。
今回はハーフラバーは貼らずにレザーソールのまま仕上げました。
履き初めのスリップと天候だけ心配ですが、靴内の快適性はレザーソールが一番です。
勿論後からハーフラバーやスティールで補強できますのでご安心下さい。
また、マッケイ製法であってもオールソールは可能ですので、穴が開くまでレザーのままでも構いません。
Uチップといっても様々なバリエーションがありますが、ご希望のイメージに近い製法でお作りしますのでお気軽にご相談下さい。
今回使用した型押しレザーのベルーガは赤茶の他、焦げ茶をご用意しております。
スムースレザーの革靴に比べカジュアルな装いに適していますので、スーツを着る機会の少ない方にお薦めしたい革です。
また型押しレザーは多少の擦れやキズも目立ちにくいのでお手入れの心配なお客様も取り入れやすいアイテムです。
選択肢の一つに入れて頂ければ幸いです。
有難うございました。
【今回の靴】
Uチップダービー
靴代・・・¥98,000-(マッケイ製法)
※ハンドソーンウェルト製法・ノルベジェーゼ製法の場合¥160,000~
革・・・BELUGA レッドブラウン
底・・・レザーソール
※初回は上記靴代の他、別途木型制作代として¥50,000-頂戴致します。
※現在の納期は約4ヶ月です。
※価格は税抜き。