こんにちは、aestasの石川です。
梅雨入りしてから気温が下がり、暑さが和らぎました。ここ数日は湿気も少なく過ごしやすいですね。
昨夏は雨が多く、うっかりすると革にカビが生えやすかったですが今年はどうでしょうか。
カビ対策としては箱や下駄箱に入れたままにせず、定期的に風遠しをして湿気を逃がすようにして下さい。
さて、今回は赤みの強い革に白ステッチが効いた一足を納品しました。
こちらの靴は某スポーツ協会の会長様のご注文でお作り致しました。
足が大きく、既製靴ではなかなかサイズが見つからないためオーダーに至りました。
足長285cmは、aestasの中では過去最大です。

つま先の余裕寸法を足すと31cm超えの木型に。最近は足が小さくて困っている方に作る機会が多かったため、その重量感の違いに圧倒されました。
小さい靴では窮屈さが顕著なため、靴選びがかなり大き目になっていて、外反母趾の症状が進行していました。
外反母趾の症状が進行すると母趾の付け根が圧迫され痛みを伴うので、皆さん大き目の靴選びをして母趾に掛かる負担を減らそうとします。
それにも関わらず痛みが再発すると、今度はさらに柔らかく痛みの感じにくい靴選びに・・・という流れを辿られる方が非常に多く見受けられます。
大き目の緩い靴を履くと最初は痛みが無く外反母趾にも良いと感じますが、緩いために歩行時に足が前に滑り、細くなっているつま先部分に押し込められてしまいます。
その結果痛みが再発し、さらに大きな靴選びになる悪循環に陥ってしまいます。
柔らかい靴選びも同様で、痛みを感じませんが、それは足と靴が適合していなくても気付きにくいということでもあるのです。
その結果、徐々に症状が悪化していってしまうということです。
外反母趾は一日にしてならず、です。何年もかけて徐々に変形が進行していきますので、みなさん症状がひどくなってから気付きます。

大き目の靴選びをしても靴紐を毎回しっかりと結んでいれば足が前に滑り込むのを抑えられます。
靴紐は良いフィッティングを得るために必要な機能を備えていますので、飾りではありません。
運動会の徒競走前に靴紐を結び直した経験はありませんか?その方が早く走れることが分かっているからだと思います。
歩くことも全く同じで、パフォーマンスを高めるには普段からしっかり靴紐を結ぶことが大切です。

外反母趾の方は母趾の付け根部分にかかる圧力は軽減する必要はありますが、それ以外の部分はしっかりと足に沿わせて作る必要があります。
アーチの低下による開帳足が原因ですので、横からの押さえの効かない柔らかい靴は症状を悪化させることはあっても良い事は何もありません。
専用の木型を削るaestasのフルオーダーでは、カカト周りから付け根の後ろまではしっかりとサポートしてあげるように木型を設計しています。
大き目の靴選びに移る前に、木型から足に合った靴を作るほうが、将来の足の変形を未然に防ぐことに繋がります。

今回はお客様のご要望によりスポンジソールでお作り致しました。
通常より厚みを持たせましたが、靴が大きい分さほど違和感なく仕上がりました。
aestasでは、このように革底以外にもゴムやスポンジ、クレープソールなど、様々な底材をご用意しております。
製法によっては採用できない場合も御座いますが、お気軽にご要望をお伝えください。
【今回の靴】
Uチップダービー
マッケイ製法
革・・・ミネルバボックス モスト
ソール・・・スポンジ素材
※初回はお客様の専用木型を製作すため+50,000円(仮縫い込み)頂戴致します。2足目以降フィッティングに関する木型代は掛かりません。