イギリスの靴メーカーGRENSON(グレンソン)の修理をお預かりしました。
とても綺麗な状態でお客様がメンテナンスをしながら大事に履かれていたのが解ります。ソールの中心部がだいぶ薄くなってきてるのでオールソールで靴底を新しく交換する修理をします。 靴底を剥がした状態です。
イギリスは靴底が曲がらないように補強する「シャンク」と呼ばれるパーツが「鉄」ではなく「木」の場合が多いです。 靴をここまでバラしてみないと気付かないのですが、「スクイ縫い」の上に「出し縫い」が重なっていました。
それにより出し縫いがスクイ縫いを切ってしまってて、靴本体とウェルトが外れている箇所も見られます。
(グッドイヤー製法は2回縫っている複式縫いの構造なので、本来はスクイ縫いが内側、その外側に出し縫いの縫いが入ります)
本来は【リウェルト(ウェルト交換からのオールソール+¥9000)】が好ましいのですが、状態はバラシてみないと解らないということもあり、お客様にリウェルトの修理までは強要できないので今回は補強で縫い直します。
靴メーカーの「設計ミス」「機械で出し縫いをかける角度」「ウェルトの出幅」など原因は色々ありますが、そこは考えて過ぎてもどうしようもないので状態が悪いところ縫い糸を外し、悶々としながらスクイ縫い直しをします。
設計上また出し縫いがスクイ縫いを切るリスクもありますが、次のオールソールの際に外からしっかり確認してウェルトが開いているようだと糸が切れているのでその際はリウェルトからのオールソールをさせていただこうと思います。
トップリフトはダヴテイルのレザーを使用しています。 <after>
イタリアのダヴテイルを使用して化粧釘(飾り釘)も再現して交換しています。元は出し縫いの縫い目を隠す「ヒドゥンチャネル」の仕上げでしたが、お客様の要望で縫い目を見せるオープンチャネルでオールソールさせていただきました。 側面のヒール周り、コバ周りもピカピカに仕上げてお渡しします。ありがとうございます。
Italy レザーオールソール ¥13,800
Italy ダヴテイル レザートップリフト +¥1,300
納期 10日~2週間ほど